前回に引き続き、メール到達率に関するKickbox社との共催セミナーのレポート第二回をお届けします。(前回のレポート「到達率とは何か?」はこちら

KickBox:メールアドレスの有効性診断サービスや、メールの到達率モニタリングサービスを提供する米国企業

セミナー登壇者: Lauren Meyer氏 Kickbox社 Vice President

 

セミナーアジェンダ

1.到達率とは何か?(第一回
2.受信者のエンゲージメントがメールの振り分けにどう影響するか?(今回の記事)

受信者のエンゲージメントがメールの振り分けにどう影響するか?

業界のカンファレンスなどに行くと、GmailやHotmail, Yahoo!Mailなどたくさんのメールサービス提供企業の方々とお会いしますが、皆さんが口を揃えて言っていることがあります。それは、彼らの最大の目的が、メールサービス利用者(メール読者)に、スパムメール、ジャンクメール、フィッシングやマルウェアなどの脅威を排除した、本当に必要で価値のあるメールだけを利用者の受信ボックスに届けること、そのための安全な環境や判断基準を整えることだということです。

もちろん、メールサービスの提供企業によって、メールの振り分けの判断基準は様々です。一般的にはメールサービス各社それぞれに数十もの基準を持っていて、主にエラー率の高さや苦情件数などを元にスパムフォルダーへの振り分けをしていますが、Gmailに至っては数百もの基準を元に受信ボックスへ振り分けるメールを判断しており、特にユーザーのエンゲージメント(開封やクリックなどメールへの反応)をとても重視しています。

これらの判断基準は非公開のものですので各社の詳細を知ることはできませんが、主な要素は次のように分類することができます。

メールの到達率に影響する読者のエンゲージメント

Gmailに限らず、メールを受信ボックスへ振り分ける基準のトレンドは、メールへのエンゲージメント、つまりメールを受け取った読者がそのメールに対してどのような反応をしているかを重視する方向にあります。どの様な反応が、どの様に評価されているのかを見ていきましょう。

Positive Engagement:好ましい評価につながる反応

-Opening Emails
読者がメールを開封するということは、当然そのメールに興味を持ったという好意的なシグナルです。

-Clicking on links in emails
読者がメール内のリンクをクリックするということは、そのメールコンテンツに興味を持ったというシグナルです。

-Replying to emails
返信の内容がどのようなものであれ、読者が返信というアクションを取ることは好意的なシグナルです。

-Saving emails to folders
読者が受信時のフォルダーから別のフォルダーへ保存するというアクションは好意的なシグナルです。

-Starring messages as important
例えばGmailであればスターマークや重要マークなどのチェックを入れるのは明らかに好意的なシグナルです。

-Forwarding messages on to friends
読者がメールを友人に転送するという事はそのコンテンツに価値を感じており好意的なシグナルです。

-Adding a sender to their address book
読者がアドレスブックにそのメールの送信者を保存するということは、その送信者に価値を感じており明らかに好意的なシグナルです。

-Marking “this is not spam” on an email found in their spam folder
読者が「迷惑メールフォルダー」に入ってしまったメールに対してわざわざ「迷惑メールではない」報告をしたり、受信ボックスにドラッグ&ドロップするということは、次回からは受信ボックスに入ってくれることを期待しており、非常に強い好意的なシグナルです。

Negative Engagement:好ましくない評価につながる反応

-Spam complaints
迷惑メール報告は、読者が「受け取りたくないメール」であることを検知する最も分かりやすいシグナルです。

-Bounces
配信エラー率の高さは、不正なリスト収集を行っている可能性が高いというシグナルであり、送信元ドメインの評価を下げます。

-Never opening or clicking 未開封、未クリック
読者が届いたメールを開かなかったり、リンクがあってもクリックをしないのは、メールへの関心の低さを示す分かりやすいシグナルです。

-Moving mail to the trash without opening
読者が届いたメールを未開封のままゴミ箱へ移動するのは明らかに関心の低さを示すため、度々それが起こる場合はスパムフォルダーに振り分ける為のシグナルとなります。

これらメールの振り分けの判断基準は各社様々ではありますが、メール配信時に意識していただくことでより良いメールマーケティングが期待できます。開封率については少なくとも20%を上回ることを意識していただくのが好ましく、5%や10%の開封率の場合には、9割以上の読者がそのメールに関心を持っていないということですので、GmailやYahoo!Mailなどのメールサービスの提供企業からの評価は厳しくなると考えてください。

インターネットの世界では膨大な数のメールが配信されており、例えばGmailは毎秒、約数十~数百億もの不審なメールをブロックしています。ユーザーを守るためにマシーンラーニングやAIを駆使して日々大量のフィッシングメールやマルウェアを検知し、未知の脅威と戦いながら膨大なスパムメールを処理しています。

その為、メールマーケターは、メール配信が正しく行われているだけではなく、そのメールが読者に必要とされているということをメールサービス提供企業にスコアで示していかなければなりません。例えばもし毎日メールを配信しているなど頻度が高すぎる場合には、そもそもの頻度を見直すことも必要かもしれませんし、読者の期待に沿った適切なメール配信を行うことがますます重要になってきています。

(関連記事)
自社メルマガが迷惑メールに?!解決策はこれ!
これでばっちり、メールセキュリティー三銃士 ~メールの到達率を上げるSPF、DKIM、DMARC~
自社ドメインの信頼性を守るために、メーリングリストは初めての配信前にチェックしよう!

著者情報:

by Masayuki.K