本記事はBenchmark Email本社のブログ記事 “The Loss of Third-Party Cookies is a Bigger Issue Than You Think” を元に執筆したものです。
GoogleがサードパーティーCookieのサポートを終了するというニュースについて、多くのメールマーケティングご担当者様も気になっていらっしゃるのではないでしょうか。
GDPRなど個人情報保護強化のトレンドはグローバルで急速に進んでおり、Webサービスへも大きな影響を与えています。今回のサードパーティーCookieの廃止も、Webサイトのトラッキング方法に影響を与えることになると考えられます。
本記事では、サードパーティーCookieの廃止によってWebマーケティングにどのような影響があるのか、そしてどのような対策を取っていくのがいいとされているのかを、メルマガのご担当者様に向けてご紹介します。
目次
「サードパーティーCookie」とは
Cookieとは、Webサイトに訪れた人の情報を保管する小さいファイルのことです。あなたのサイトを訪れた人に対して、あなたのサイトから発行するCookieはファーストパーティCookieと呼びます。これはログイン情報の記録や、自社のサイト内に限ったアクセス解析などに使われます。
サードパーティCookieは、Web広告をクリックしたときなど、あなたの会社以外のサーバーから発行されたものを指します。広告をクリックしてサイトに訪れた人の属性を調べたり、広告のターゲットを絞るのにも使用されています。
実際にサードパーティCookieが全面的な禁止をされるわけではありませんが、数年以内に、ほとんどのWebブラウザがサポートを停止する予定です。Firefoxなどの一部のブラウザがサードパーティCookieのブロックを始めていた流れの中で、決定打となったのはGoogleの発表です。Webブラウザ「Chrome」のサードパーティCookieサポートについて、2023年半ばから後半までの3カ月で段階的に廃止する見込みとしています。
「サードパーティーCookie」がWebマーケティングにおいて重要な理由
オンラインマーケティングやWeb広告にとってサードパーティCookieは重要な役割を担っています。事実、産業全体がこの先何年もサードパーティCookieが存在し続ける前提でユーザーにCookieをタグ付けし、分析し、そのCookieに含まれる情報を元にターゲティング広告を表示することで成長してきました。
今後も多くのオンラインビジネスがサードパーティCookieをある程度利用し、そのほとんどはWebサイト訪問者の情報を収集することに使われるでしょう。サードパーティCookieの種類によりますが、最近訪れたWebサイトだけでなく、訪問者の好みや属性、購入履歴など価値ある情報も知ることができます。これによって、企業がさらに関連性のある広告を表示し、訪問者に合ったやり方でビジネスを宣伝できるようになります。
Cookie廃止による影響とは?
主に、以下の3つの点で影響を及ぼすと考えられます。
- Web広告の効果分析:サードパーティーCookieを基にした分析やアトリビューション(貢献度)が効率的でなくなるため、広告効果を評価することが非常に困難になります。
- Web広告のパーソナライズ化:サードパーティーCookieには閲覧データに関する情報を保管されているため、それに頼っているマーケターにとっては広告をパーソナライズ化することが難しくなります。
- Web広告の表示(基本的なタスクの実行):マーケティングシステムの中には、フリークエンシー・キャップ(ユーザーに対する広告表示回数を制限する機能)のような基本的かつ必要不可欠なタスクをサードパーティーCookieに依存していることがあります。それが問題になる可能性はありますが、ほとんどの技術プロバイダーはこれを回避する方法を見つけているケースが多いでしょう。
一方で、サードパーティーCookieの廃止は悪いニュースばかりではありません。この種類のcookieの中には危険なサイバー攻撃に関連しているものもあり、広告主が保持している個人情報の量に不安を抱いている消費者も増えています。この廃止で真のパーソナライズされた広告を作成できなくても、Webサイトをより安全で私的なものにしてくれるかもしれません。
「ファーストパーティー・データ」とは?
ファーストパーティデータとは、企業が自社の顧客やウェブサイト訪問者から収集した情報です。 たとえば会員登録データや、オンラインショップでの購入履歴、Google Analyticsで集めた自社サイト内での来訪者行動データなどです。
サードパーティーCookieの廃止によって、ファーストパーティー・データの重要性が著しく高まっています。eMarketer社で行われた研究によると、4分の3以上の欧米のマーケターはファーストパーティー・データ活用の促進を最重要課題にしています。
「ファーストパーティー・データ」の利用方法
まずはじめに、企業にとってどのデータが最も重要かを決定します。以下、ファーストパーティーによるデータポイントの例です。
- 属性
- 訪問したWebサイトおよびインタラクション
- 購入履歴
- 興味・関心
- Webサイトでの滞在時間
上記のデータは個々のWebサイト訪問者を対象としていますが、サードパーティーデータに比べて厳密なものではないかもしれません。
他のWebサイトやプラットフォームを通して収集できるサードパーティー・データに比べて、ファーストパーティー・データはいくつか短所がありますが、長所も持ち合わせています。
短所として、ファーストパーティー・データは詳細が少なく集めるのが困難です。しかしながら、一旦収集したデータを利用できる範囲はサードパーティー・データより広がります。厳しい基準のCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)やGDPR(EU一般データ保護規則)のような関連データプライバシー法に則してデータを収集している限り、データの処理、利用、共有が自由に行えます。言い換えると、現在のサードパーティー・データのサプライヤーとのサービス契約書に拘束されることがないという利点が生まれます。
つまり、収集したファーストパーティー・データは企業にとっての価値ある資産となります。仮にサードパーティーCookieが排除されなくても、収集を始めることはビジネス上大変意味のあることなのです。
ファーストパーティー・データを収集する方法
この情報が新しいマーケターにとって、ファーストパーティー・データを集めることは非常に難しく感じるかもしれません。お客様がどんなにブランドのファンであっても、個人情報を共有したいと思ってくれることを想像できないからです。
この課題を解決するのに2つの方法があります。1つ目は、データを共有していただくことはお客様にメリットがあるという事を明確にすることです。例えば、フォームに個人データを入力すると次の購入時にクーポンや割引がもらえる、または真にパーソナライズされた体験を提供することです。
2つ目は、データを収集する方法をできるだけ多様化することです。お客様がWebサイトに訪問してすぐに個人情報を入力するように尋ねられると引いてしまう可能性があります。Webサイトの至る所にフォームを散りばめる方がより効果的に情報を集める事ができます。
以下、Webサイト上でファーストパーティー・データを収集するためのツールには4種類あり、いずれも幅広い戦略に活用頂けます。
- ランディングページ:製品やサービスに関する情報が記載されたWebサイトのページです。通常、お客様がWebサイトを訪れた時に最初にアクセスするページです。トラフィックが多いので、ファーストパーティー・データを収集するのに優れた場所です。ランディングページに特別割引と引き換えにメールアドレスを入力するポップアップを設置してみるのもいいでしょう。
- Webサイトフォーム:より簡単なツールですが実に効果的です。高品質なWebサイトエディタを使って、サイトにデータ収集フォームを拡散することができます。例えば、お客様が購入手続きの際に情報の共有または追加情報の提供を行なった場合に商品を割引する方法は有効的です。フォームを多様化することでデータ収集能力が向上されることがすぐに分かると思います。
- 投票およびアンケート:より直接的な手法で、Webサイト上やソーシャルメディアのフィード、またはメールマーケティングを通して投票やアンケートを行うことが可能です。
どんな手法でも良質な情報を集めるためには、ファーストパーティー・データの収集方法だけでなく、その情報を提供するメディアも多様化することが鍵となります。
そのため、Benchmark Emailでは、見込み客からファーストパーティー・データを集めるための様々なオプションをご用意しております。
・アニメーションを利用して魅力的なLPを!ランディングページのエディタ操作方法を解説
・登録フォームの悩みを解決!基本機能からトラブルシューティング・応用的な活用例まで一挙解説
・効果的なメールアンケートの作成から活用方法までを解説!
今後の対策
あなたの会社のマーケティングがサードパーティーCookieに依存している場合、今回の廃止に対して現時点でできる唯一の対策は、ファーストパーティー・データを収集することです。
はじめに、サードパーティーCookieのどんなデータを利用しているのかを検証しましょう。そのうえで、お客様から直接同じようなデータを同意を得てから収集するという計画を整えます。プライバシーポリシーを作成し、データ収集や保管の方法があなたの地域のプライバシー法に則っていることを確認する必要もあるでしょう。
あるいは、現在利用している高度なマーケティング技術である「超パーソナライズ化」を諦め、幅広いターゲット層に訴える広告を細心の注意を払って作成するという古くからの広告手法を選択する必要が出てくるかもしれません。
このように万全に準備することで、サードパーティーCookieの廃止後の新しい環境でも、デジタルマーケティングを成功させることができるはずです。