当記事では、Benchmark Japanが行った「日本のメールマガジン購読状況調査 2021年度版」の結果をダイジェストでお届けします。

2022年9月追記:
最新調査はこちら「メールマガジン購読状況調査 2022年度版」

当調査の目的

2020年から続くコロナ禍によって、顧客へ直接メッセージを届けることができるメールマガジンの重要性はますます高まっています。そこで当社では、「メールマガジンがどの様に読まれているのか?」についての実態を把握し、当社ユーザーへお届けする情報の精度を高めるため、日本国内のインターネットユーザーを対象に調査を行いました。

今回の調査では、メルマガ購読状況全般について調べるとともに、一般消費者向けと企業向けのメルマガでは購読状況に違いがあるのではないか?という想定のもと、プライベート用、仕事用それぞれのメールアドレスの利用状況の比較も行いました。

調査概要

インターネットリサーチによる調査を行った。調査期間は2021年3月24日~4月25日で、事前調査と本調査の2種類の調査を行った。プライベートと仕事用のメールアドレスでの購読状況の違いを調べるため、対象者は会社員、公務員、自営業、経営者などで、20代〜60代を対象とし、回答者の年齢分布は国勢調査の世代比率に対応させた。

 

質問項目と結果

メルマガを1通以上受信している人はどれくらいの割合か?

そもそも、メルマガを受信している人は、世代別にどれくらいの割合なのでしょうか?
まずは事前調査として、「プライベートと仕事用のメールアドレスいずれかでメールを最低1通以上受信しているかどうか?」について聞き、4,393名から以下の結果を得られました。

全体では74.9%がメルマガを最低1通以上受信しており、世代別では年齢層が高いほど購読率が高いという結果になりました。

世代 1通以上受信率
20代 62.6%
30代 70.3%
40代 76.2%
50代 82.6%
60代 84.9%

インターネットの利用率は、1997年の9.2%から、2005年には70.8%へと上昇し(情報通信白書, 総務省)、メールマガジンの配信が活発になり始めた2000年前後は、現在30代後半~40代の方々が仕事を始めた時期でもあります。

世代が上になるほどメールアドレスの保有期間が長いことに加え、若い世代ほど情報収集チャネルがメールとSNSやチャットツールに分散していることが世代間の違いに影響しているのかもしれません。何らかのSNSの利用率が20代で87.1%、60代で51.7%であることから(通信利用動向調査, 総務省)、メルマガとSNSは情報収集チャネルとして併用されつつも、世代が上になるほどメルマガの比重が高くなっているものと考えられます。

以降は、上記の事前調査回答者の中から、最低1通以上のメルマガを受信していると回答した方々を対象に、仕事用・プライベート用、それぞれのメールアドレスでの購読状況の違いを調査した結果をまとめたものです(有効回答数712名)。

メルマガを読む時間帯はいつか?

「Q. メルマガを読むのはどの時間帯が多いですか?最も多い時間帯をお選びください。」

Q. メルマガを読むのはどの時間帯が多いですか?最も多い時間帯をお選びください。

仕事用メールアドレスの場合、1位は「12時~15時台」で26.6%、2位は「~9時台」で21.2%、3位は「10時〜11時台」で14.4%であり、BtoBのメルマガでは朝から午後までが読まれやすい時間帯であることが分かりました。これらは多くの方にとっての勤務時間中に読まれていることが考えられます。

一方、プライベート用メールアドレスの場合、1位は「21時~23時台」で33.4%、2位は「19時~20時台」で19.2%、3位は「12時〜15時台」で18.1%と、お昼~午後、夜の時間帯が読まれやすい時間帯であると分かりました。夜に関しては帰宅後のプライベートな時間に、お昼~午後に関してはお昼休みなどにメールをチェックしていることが考えられます。

メルマガ購読に最も利用されているメールソフトはどれか?

「Q. どのメールソフトを使ってメルマガを読んでいますか? *複数選択可」

Q. どのメールサービスを使ってメルマガを読んでいますか?

仕事用・プライベート用、共にGmailでのメルマガ購読が1番多いという結果になりました。しかし2位には違いがあり、仕事用ではOutlookが、プライベート用ではYahoo!メールがそれぞれGmailの次に多いという結果となりました。

「その他」の回答は全体の1割未満ではありましたが、Becky!や自社開発のメールソフト、So-net、OCN、niftyなどISPのメールサービス、モバイルのアプリなど多種多様なソフトが挙げられました。特に50代、60代に「その他」の回答者が多くいました。

Gmailの「プロモーションタブ」はどれくらい読まれているか?

「Q. Gmailを利用している方へ メインタブだけでなく「プロモーション」や「新着」のタブも開いていますか?」

Q. Gmailを利用している方へ メインタブだけでなく「プロモーション」や「新着」のタブも開いていますか?

約8割がメインタブ以外も開いて見ているという結果になりました。なお、Gmailではメールの内容や、ユーザーのメール閲覧行動、送信元ドメインなどに基づいて自動的に「メイン」「プロモーション」などのタブへ振り分けが行われています。当設問とは異なりますが、「迷惑メール」に振り分けられてしまうと受信者に見られる機会は激減するため注意が必要です。

参考:送ったメールを受信ボックスに届けるためには?

スマホとPC、どちらのデバイスで読まれているか?

「Q. スマホとPC、どちらでメルマガを読みますか?」

Q. スマホとPC、どちらでメルマガを読みますか?

仕事用・プライベート用共に、「両方だが、PCが多い」が1位でした。PCとスマホを併用している方が全体で約6割いますが、傾向としては仕事用ではPCの比率が高く、プライベート用ではスマホの比率が高いことが分かりました。

世代別の傾向としては、「スマホのみ」の約7割が30代以下であるのに対し、「PC」のみの約7割が40代以上であり、若い世代ほどスマホでの閲覧比率が高い傾向が見られました。

受信しているメルマガ数は平均何通か?

「Q. 1日に平均何通のメルマガを受信していますか?」

Q. 1日に平均何通のメルマガを受信していますか?

仕事用の1位は「1〜5通」である一方、プライベート用の1位は「21通以上」という結果になり、プライベート用メールアドレスの方が受信通数が多いことが分かりました。また、順位に違いは出たものの、回答者の中位はいずれも「6~10通」内に入りました。

これは、そもそものメールアドレスの用途の違いに加え、会社のメールアドレスは転職などによって変わる(消滅する)ことも影響しているかもしれません。今回の調査は何らかのメルマガを1通以上受信している人を対象に行っていますので、「1通未満」については「受信しない日もある」という頻度なのであると考えられます。

世代別では、年齢が上がるほど受信通数が高くなる傾向が見られました。例えば「21通以上受信している」の世代別内訳は、仕事用、プライベート用を問わず20代が約1割なのに対して、40代、50代がそれぞれ約3割ずつを占めていました。

1日に平均何通のメルマガを開いて読んでいるか?

「Q. 1日に平均何通のメルマガを開いて読んでいますか?」

Q. そのうち、平均何通のメルマガを開いて読んでいますか?

仕事用・プライベート用共に、1日に平均1通〜5通読んでいる人が最も多いという結果になりました。いずれの回答者の中位も「1~5通」内に入りました。一方、11通以上読む人も全体の25%程度おり、21通以上読む人も、仕事用で12.9%、プライベート用で15.9%いました。

1日にどれくらいの時間メルマガを読んでいるか?

「Q. 1日あたり平均どのくらいの時間をかけてメルマガを読んでいますか?」

Q. 1日あたり平均どのくらいの時間をかけてメルマガを読んでいますか?

仕事用・プライベート用共に1位は「1~5分程度」、2位が「1分未満」、3位は「5〜10分程度」という結果になりました。メルマガの内容によって大きく偏りがあると考えられますが、読者が1通あたりにかける時間を考えると、できるだけ簡潔にメッセージを伝えること、または読者が時間を割いても読みたいと思えるコンテンツであることが大切だと分かります。

メルマガの理想的な配信頻度はどれくらいか?

「Q. 購読しているメルマガの配信頻度は平均どのくらいが理想ですか?」

Q. 購読しているメルマガの配信頻度は平均どのくらいが理想ですか?

仕事用・プライベート用共に1位は「週に2〜3通」、2位は共に「週に1通」という結果になりました。全体の2割程度が週1通未満を望んでいる一方、毎日を望む人が1割以上いるなど分散しており、理想的な頻度はメルマガの種類によって大きく異なると考えられます。

参考:メルマガの頻度は月に何回がいいの?他社平均と最適なペースの見つけかたは?

ここからは、会社用・プライベート用のメールアドレスを問わず、共通の設問です↓

メルマガの開封に影響する要素は何か?

「Q. メルマガを開く、開かないの判断に最も影響するところはどこですか?」

Q. メルマガを開く、開かないの判断に最も影響するところはどこですか?

1位は「件名・タイトル」で48.9%と、約半数が最も影響する要素に挙げました。一方、2位の「送信元名」が24.0%、3位の「本文プレビュー」が15.7%など、件名・タイトル以外の箇所も開封されるための重要な要素であることが分かります。また「上記に関わらず全て開く」人も7.3%いました。

参考:
メルマガの業種別・地域別(国別)平均開封率レポート【2020年版】
開封率?クリック率?メルマガ効果測定で大切な指標とは
【メルマガ開封率②】開封されやすい件名・差出人名とは?

自らメルマガの登録をしているか?

「Q. Webページなどにあるメルマガ登録フォームから、自らメルマガ購読を申し込んだことはありますか?」

Q. Webページなどにあるメルマガ登録フォームから、自ら購読を申し込んだことはありますか?

77%の人が、自ら「メルマガ登録フォーム」から登録を行ったことがあることが分かりました。購読受付の方法は各社さまざまかと思いますが、購読者を増やす有効な施策として、ぜひWebサイト上に登録フォームの設置をされることをおすすめします。

どんなコンテンツを期待してメルマガに登録するのか?

「Q. 特にどんなコンテンツを期待して登録しましたか? *複数選択可」

Q. 特にどんなコンテンツを期待して登録しましたか?

メルマガに期待するコンテンツの1位は「最新情報、ニュース」となりましたが、「セール、クーポンなどお得な情報」、「商品の情報、カタログ、メニュー」「イベントセミナー情報」「ブログ、コラムなど役に立つ読み物」など、期待されているコンテンツは多岐に渡っています。

参考:
コンテンツ要素の定番20個を調査!メルマガには何を載せるべき?
ネタ出しどうしてる?メルマガコンテンツの基本的な作り方

メルマガは受信後にどれくらいさかのぼって読まれているか?

「Q. 受信したメルマガはどれくらいさかのぼって読むことが多いですか?」

Q. 受信したメルマガはどれくらいさかのぼって読むことが多いですか?

1位は「1日前でも読む」で31.0%、2位は「当日のメルマガしか読まない」で24.9%、3位は「3日前でも読む」で24.0%という結果になりました。一方、「1週間以上前でも読む」人も11.4%いました。

どんな理由でメルマガを購読停止しているのか?

「Q. メルマガの購読を停止(解除)する時はどんな理由が多いですか?最も多い理由をお選びください。」

Q. メルマガの購読を停止(解除)する時はどんな理由が多いですか?最も多い理由をお選びください。

「メルマガの内容に興味がなくなった」と「配信数が多すぎる」の2つの理由で全体の約7割以上を占める結果となりました。購読解除が多い場合には配信頻度とコンテンツの見直しが有効と考えられます。また、「メルマガが読みづらかった」については、構成やデザインなどメールデザインの改善で防げる可能性があります。

参考:メルマガデザイン初心者でも90点レベルのHTMLメールを作れる6つの思考

購読を停止したメルマガはどれくらいの配信頻度だったのか?

「Q. 配信停止をしたメルマガは平均どのくらいの配信頻度でしたか?」

Q. 配信停止をしたメルマガは平均どのくらいの配信頻度でしたか?

前項の「登録停止」の理由で2位(33.1%)であった「配信数が多すぎる」について、頻度の詳細を聞きました。1位は「1日1通」27.5%、2位「1日2通以上」25.8%と、回答の約半数が1日1通以上の配信頻度であったことが分かりました。毎日届くメールは記憶に残りやすい半面、読者の期待するコンテンツでない場合には購読を停止されやすくなると考えられます。

どの様な方法で購読の停止をしているのか?

「Q. どのような方法でメルマガの購読を停止(解除)することが多いですか?最も多い方法を選択してください。」

Q. どのような方法でメルマガの購読を停止(解除)することが多いですか?最も多い方法を選択してください。

「メール内の配信停止リンク・フォーム」が67.4%で1位という結果でした。2位は「迷惑メール・スパム報告」で19.4%、3位は「送信者へ直接連絡」で8.2%、4位は「自分で受信拒否リストへ追加」で4.6%となりました。

「迷惑メール・スパム報告」で購読停止をされてまう背景には、メルマガによってはメール内に配信停止リンクがなかったり、見つかりづらい、または停止の手続きが面倒といった原因があるかもしれません。「迷惑メール・スパム報告」をされてしまうと送信元ドメインの評価を低下させ到達率を低下させることになるため注意が必要です。

メルマガをきっかけにSNSを見ているのか?

「Q. メルマガをきっかけに企業のSNSアカウントやYoutubeを見に行くことはありますか?」

Q. メルマガをきっかけに企業のSNSアカウントやYoutubeを見に行くことはありますか?

約7割がメルマガをきっかけに企業のSNSアカウントやYoutubeを見に行くことがあると回答しました。SNSアカウントを運用されている場合には、SNSとメルマガのコンテンツや、投稿・配信スケジュールを連動させることで相乗効果を得られる可能性があります。

参考:ソーシャルメディア関連ブログ記事

SNSをきっかけにメルマガを購読することはあるのか?

「Q. 企業のSNSアカウントやYoutubeをきっかけにメルマガを購読したことはありますか?」

Q. 企業のSNSアカウントやYoutubeをきっかけにメルマガを購読したことはありますか?

約6割が企業のSNSアカウントやYoutubeをきっかけにメルマガを購読したことがあると回答しました。SNSアカウントを運用されている場合、SNS上でメルマガの案内をしたり、メルマガ登録フォームを設置することで、SNS経由のメルマガ購読者を増やせる可能性があります。

参考:ソーシャルメディア関連ブログ記事

まとめ

今回の調査はもともと、当ブログをはじめ、セミナーや動画など、Benchmark Emailユーザー様へご提供するコンテンツに用いるデータ収集のために行いましたが、その中でメール配信の企画・実務に携わっていらっしゃる方々へ役立てていただけそうな情報をダイジェストでまとめたものです。

様々なデジタルマーケティング手法が存在し、さらに冒頭に述べた通りコロナ禍によってオンラインコミュニケーションの重要性がますます高まってくると考えられる昨今、当社では今後も様々なテーマ・角度から日本国内のインターネットユーザー動向について調査を続け、メール配信システムのベンダーとして、ユーザー様により良い成果を上げていただけますよう尽力してまいります。

調査結果のスライドはこちら:
メールマガジン購読調査2021年

関連記事:
メルマガの業種別・地域別(国別)平均開封率レポート【2020年版】

著者情報:

by Masayuki.K