前回から新たに開始した連載「他社メールマガジン大解剖」の第2回は、様々なショッピングモールなどと併設され、日本でも一般的になったコストコに焦点を当てたいと思います。本社は米国ワシントン州です。

コストコはテレビなどでも紹介されることが多いため、あの広大なまるで巨大倉庫のようなフロアに、山のように所狭しと並べられた大量の品物に驚かれた方も多いのではないでしょうか。

実際店舗に行ってみると、人の多さとそれぞれの商品のサイズの大きさ(量にしても1パックに入っている数にしても)は今までにないものが有ります。取扱商品も食料品などにとどまらず家電製品や化粧品、果てはタイヤ交換や補聴器・メガネなんていうものもあります。


コストコは日本ではオンラインショップはありませんが、米国とカナダ、英国とメキシコではオンラインショップを運営しています。今回解析するのは米国のメルマガなので、来店誘導とオンラインショップ誘導が目的です。

また、コストコはアプリも出していて実店舗(Warehouse)で使えるクーポンもアプリ内で配布されます。(※日本ではダウンロードできません、ユーザーとしては残念)

来店誘導の効果を測定する事と、クーポンなどによる来店促進を狙ってのアプリ活用は、日本だとユニクロなどが行っていますね。

コストコは、それをより以前から行っており重要な「顧客接点の確保」手段としてメールマガジンの中でも上部の目立つ場所にバナーを置くなど、強いプロモーションを行っています。

なぜアプリをメールマガジンの中で押しているのか?も含めて、コストコのメールマガジン活用について今回は具体的に見ていきたいと思います。


コストコの配信曜日・時間などの特徴



コストコは、配信曜日はかなり固めています。

上の図は9月、10月の曜日ごとの配信データですが、火・木・土に偏っています。金曜日に少し発行していますが、他の曜日に比べればかなり少ないです。

これは確実にこの曜日が反応が良いという判断の結果だと考えられます。

時間帯で見るとこちらの図のような状況です。

縦軸がメルマガの配信数で、横軸が時間軸です。

大きな傾向は同じですが、金曜日だけ若干異なりますのでオレンジ色にしています。それ以外の曜日は全て青色にしています。

さて、主要配信時間は、ピークが午前中、特に早い時間ですね、9時くらいに来ています。また、深夜帯にも若干メールが配信されています。これは、朝メールを見て実店舗に行こうと思わせる、ないしオンラインショップを覗かせるという事を狙っていると思われます。

月曜日の朝は余り反応が良くないことが多いのと、土曜日の朝に配信する、そこから均等配信の曜日を逆算した結果が、火曜日・木曜日・土曜日なのかもしれません。

曜日としては火曜日が多いというのは興味深いですが、もしかしたらコストコで買い物をする顧客行動として、大量買するのは週初なのかもしれません。

この辺りはお国柄も有りますので深追いできませんが、重要なのは、買い手のライフスタイルを知った上で配信曜日を決めるということです。業種業態、地域や目的によってもベストな時間帯は変わってきます。

ある程度のお決まりのルールは有りますが、それが必ずしもベストではありません。意図的に配信時間をずらすなどして、反応の差を見てお客さんの真の姿を知っていくことは、コンバージョンレートに大きく影響しますので、テストは非常に重要です。また、得るものも大きいです。


モバイルに対してはアプリを併用する戦略


コストコはスマートフォンに最適化するようなメールマガジンにはしていません。

デスクトップできれいに見ることを重要視しているようです。メールマガジンは完全HTMLメルマガです。ビジュアルを見せて希求する及び計測のためにはHTMLメルマガは必須ですね。


コストコのメルマガの特徵としては、ほとんどの場合、最も目立つ位置にアプリへの誘導広告を入れている点があげられます。これは今の時代に即していると思われます。

メールアドレス自体はこちらからPUSHするためのリストとして重要です。しかし、PULLには向いていません。わざわざ昔のコストコのメルマガをメールボックスの中から探して、見てくれる人なんてほとんどいないですよね。

しかしアプリは違います。さっと起動して見たい情報が見られます。しかもWarehouse(実店舗)にしてもオンラインショップにしてもクーポンや安売り情報が直ぐに目に入ります。どちらが売り上げにつながるかと言ったら、アプリではないでしょうか。

いずれコストコのメルマガもモバイル対応になるのかもしれませんが、こうやってPUSHとPULL両方を行えるようにしておくことは、情報過多の今の時代では有用なのではないでしょうか。

先ほども出ましたがユニクロはコストコとほぼ同じような構成のアプリを出しています。オンラインショップ・クーポン・店舗検索などの機能がついたものです。お買い物リストもついています。オンラインだけではなく実店舗とのバランスをとっています。


より深く顧客を知るために


それ以外については一般的なECサイトのメールマガジンと大きな差はありません。またほとんどの場合、件名は「Save on〜(割引)」などから始まるなど、基本的にはメルマガでお得感を出して引きつけていく流れが多いです。

コストコについては、その中でアプリを使って更に顧客とのエンゲージメントを高めようという試みを行っている点が興味深いなと思います。

アプリであればその中にGoogleアナリティクスを始めとした解析ツールを導入することで、更に深い顧客の行動情報などを得ることができます。そうすれば、より相手の立場に立ったマーケティングを行うことができます。

メールマーケティングにしても何にしても特定の手法の中で完結しなければならないというルールはありません。

このように横断的に様々なものを使って、顧客に密着していくという形が、これからのマーケティングにはより一層必要なのではないでしょうか。

日本のコストコはオンラインショップもありませんので顧客体験ができないのですが、北米と同様のマーケティングが導入されたらぜひとも体感してみたいと思っています。

店舗にはよく行くんですけどね。袋詰のパンは必ず買っていきます。

次回はまた違う業種にフォーカスして行きたいと思います。

他社メールマガジン大解剖シリーズ


1回:Clinique(クリニーク)

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著者情報:

by Adeel Mehmood