こんにちは。遠藤です。Benchmark Emailを利用しているユーザーの方に、お話を伺うインタビューシリーズです。今回お話を伺ったのは、教育系の認定NPO法人カタリバの本田様です。
目次
認定NPO法人カタリバのメール施策概要
メール配信を行っているサービス名:
認定NPO法人カタリバ(教育系のNPO法人)
対象:
メディア関係者、民間企業の教育関係者、行政の教育関係者、団体のプログラムやイベントに参加したことのある方
主な配信コンテンツと頻度:
カタリバマガジンの最新コンテンツや、カタリバの最新情報
担当組織:
メールマガジンの担当者2名
社会の変化に応じた教育活動に取り組むNPO法人
━ 認定NPO法人カタリバは、どのような活動をされているのでしょうか?
カタリバは2001年に活動を開始して、今年でちょうど20年になる教育系のNPO法人です。「どんな環境に生まれ育っても、未来をつくりだす力を育める社会」というビジョンを据えて、主に10代の子どもたちに対する活動をしています。
カタリバは20年前、高校へ大学生のボランティアスタッフが訪れ、高校生と本音で語り合う対話型の出張授業プログラムから始まりました。
2011年の東日本大震災以降は子どもたちに学びの場と居場所を提供しており、2020年からは経済的事情を抱える家庭にオンライン学習支援を行うなど、社会の変化に応じてさまざまな教育活動に取り組んでいます。
━メールマガジンは、どんな目的で使われていますか?
直接顔を合わせてやりとりをした方や、情報交換をした方、イベントに参加してくださった方たちとの「繋がり」が一過性にならないよう、定期的に情報を届けるために使っています。
私達の取り組んでいることには興味を持ってくださったときが、活動にご協力をいただけるタイミングではなかったりとしても、時期が変われば繋がっていくこともあります。そういった方とカタリバとの「繋がりの質」を意識しています。
カタリバのウェブサイトの中ではカタリバマガジンというウェブメディアで定期的に発信をしていますので、メールではそちらの情報に触れていただき深くカタリバを知ってもらうというところをゴール設定にしています。具体的には、カタリバマガジンの最新情報や、各事業の取り組みを紹介するようなイベント情報、採用情報、プレスリリース情報などを配信しています。
ユーザー層とリスト取得方法
━メールマガジンのリストは、どうやって集めていますか?
私たちのメールマガジンの購読者は大きく分けると「メディア関係者」「民間企業の教育関係の方」「行政の教育関係の方」「カタリバ実施するプログラムやイベントに参加したことのある方」です。
メールマガジンの内容はセグメントごとに変えることはせず、皆さんに同じものをお送りしていますね。
リストの集め方は、カタリバの職員が名刺交換をした方、イベントに参加した方がほとんどです。あとは、ウェブサイトからメールマガジンに登録してくださった方がいらっしゃいます。
名刺交換をした方のリストは、月に1回、職員に呼びかけて、名刺交換した人の名刺をスキャンして登録してもらっています。
メールマガジンが読まれるためには、新規リストが常に増えていく状態が、一つ大切かなと考えています。なので、職員に交換した名刺を登録してもらえるように、「皆さんの取り組みをこうして発信していて、それをできるだけ多くの人に届けたいから、毎月名刺の登録をお願いします」や「イベント参加者のリストをぜひ共有してください」と、メールマガジンを全社的な取り組みとして、社内に向けても発信をしています。
配信コンテンツ
カタリバマガジンの最新コンテンツや、活動の最新情報を配信
配信頻度:月に1回
配信時間:平日
内容:カタリバのウェブメディアの最新コンテンツ、採用情報、プレスリリース情報など
「カタリバマガジン」のメールデザイン(クリックで全文表示)
運用と設計について
カタリバの取り組みの先進性や深さを伝えるようにしている
━メールマガジンの運営体制は?
メールマガジンの担当は2名です。私が、ウェブメディアの記事の企画から記事づくりまでの一連のディレクションと、メールマガジンのコンテンツを担当しています。その月のメールマガジンで何を配信するのかを逆算をして、ウェブメディアのコンテンツも決めています。
カタリバのウェブサイトへわざわざ情報を見にきてくれる方ばかりではありませんので、メールマガジンで届けるまでがセットだと考えています。これまでにカタリバと接点を持ってくださった方に、どんなトピックを届けたいかを考えて設計しています。
━メールマガジンの構成は、どのように決めていますか?
基本的には、情報としてお届けしたい優先順位の高いものを、メールの上部に載せています。例えば、年明けに緊急事態宣言が出たときは、緊急事態宣言を受けて、「カタリバとしてどういう取り組みをしていくか」という代表の発信を、メールのタイトルからも見えるようにして、メール内でも、一番上に載せました。
広報として「我々が広報することによって、カタリバという教育系のNPOが、どういう社会課題に向き合っているのか。その取り組みの先進性や、取り組みの深さを、ちゃんと現場から吸い上げて伝えていく」ということを一つのミッションにしています。その観点に照らし合わせながら、たとえば、生徒たちが主体となって校則を見直すプロジェクトを、全国の学校とともに行っていることであったり、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う全国一斉休校に際して、いち早くオンラインで子どもたちの居場所をつくったことであったり、「先進性のある取り組み」にできるだけスポットライトが当たるよう、そうした取り組みを1番目に持ってくるような構成にしています。
━メールマガジンを作るとき、どれくらいの時間をかけていますか?
ウェブメディアのコンテンツ作成からトータルで見ると、メールマガジンで配信するまでに2ヶ月くらいです。
2カ月のうち、1カ月半程度は記事の製作に当てている期間です。記事も1本だけではなく、3〜4本を並行して進めているので、だいたい1カ月半で3〜4本をつくるイメージですね。
新しく入ったリストの対応や、メルマガの内容について社内確認をする作業があるので、それらを逆算して、だいたい配信の2週間前からメールマガジンを作り始めます。
━メールマガジンのデザインは統一されていますか?
ウェブサイトを2年ほど前にリニューアルしたときに、ちょうどメールマガジンの運用をはじめました。その際に、ウェブサイトとテイストを揃えるような形でテンプレートを作りましたので、デザインには統一性があります。
テンプレートをベースにして、配信ごとに画像とテキストを差し替える程度で作成しています。
━効果測定では、どんな数値を追っていますか?
開封数とクリック数を見ています。どちらかというと開封数のほうを大切にしています。メールマガジンを開封をしてもらったら、メールマガジン上だけでもカタリバの最新情報が拾えるように意識して作っています。クリックまで望むと、そこでの離脱が多いので、繋がりを持った方に、できるだけ、メール上だけでも、カタリバのことをわかってもらえるようにしています。
クリック数は、先月に比べてどうだったかとか、どんな情報がクリックの反応が良かったかとかで、見ています。あとは配信停止数も見ています。
セグメント別での開封数、クリック数もみています。開封の山がどこにくるかというところから、配信に最適な曜日や、時間を決めています。
配信日時でいうと、以前は日曜日の19時くらいに送っていました。そうすると翌月曜日に、受信ボックスの上のほうにあって、会社に出社したとや出勤途中に読んでもらえていたようなのです。それが、最近はそうでもないなと見えてきて、何回か曜日を変えて配信をしたら、平日のほうが見られるようになっていました。そのため、今では平日に配信をしています。
メールマガジンの反応が「広報」として役に立っている
━メールマガジンの成果として、どんなものがありますか?
ウェブサイトのPV数は、メルマガを送りはじめた2年前と比べると、全体で130%程度増えています。ウェブサイトに誘導するような形で、メールマガジンも設計しているので、その影響も大きいです。
Benchmark Emailでは、セグメントごとの反応が見られるので、定期的に確認することによって、カタリバに興味を持っている人が、どういう情報に対して敏感なのか、どういう情報を送ると興味を持って見てくださるのかをみています。例えば、イベント出席してくださった方が採用とか、職員のインタビュー記事への反応がいいということが見えてくることがあります。
そういったデータは、私たちが広報していく上で、どういう情報が求められていて、誰に何を届けると良いのかという感度を磨く上でも、すごく役立っているなと感じています。
メールマガジンでの反応を見ることは、オウンドメディアの運営以外にも生きているという感覚がありますね。広報チームでは、新聞やテレビ局などのメディアの方からの取材対応を受けるような業務も担っているのですが、取材を受けるときに、私たちのほうも感度を高めた状態でいれば「こういう話ができます」というご提案をできますから。
Benchmark Emailによるサンプル用のレポート画面
コロナ禍で名刺交換の機会が激減したが、リストのマッチ度は高まった
━リストの集め方に「名刺交換」がありましたが、コロナ禍で、影響はありましたか?
名刺交換をする機会が減って、メールマガジンの新規リスト件数が格段に減りました。私たちは営業をガンガンかけにいくような団体ではないとはいえ、名刺交換できなくなったことによって、連絡先を知ってやりとりができるという機会は減ってしまいました。
一方で、オンラインで行うイベントが増えましたので、イベント参加した方のリストが重要になりました。
以前は、各事業で行っているイベントを広報が把握できていない場合もあり、リストとして回収しきれていないこともあったんです。しかしコロナ禍によって状況も変わったため、イベントのリストを確実に集めきることに、いまは名刺交換よりも重きを置いて取り組んでいます。
名刺交換をした方と、イベント参加者との数字を比較すると、名刺交換をした方のほうが開封もクリックも少ないんです。それもそのはずで、東北の現場だったりと、カタリバの取り組みの何かとシンクロするようなことをやっているから、その現場のことが知りたいとか、その現場の人と繋がりたいと思って名刺交換をしている方が大半ですので。カタリバ全体の様々な取り組みを扱っているメールマガジンとは、求めている情報が噛み合わず、どうしても反応が悪くなってしまいがちです。
一方で、イベントに参加してくださった方は、カタリバについて広く知りたいという方が多いのかなと思っています。
最近は配信停止数も減ってきていて、過去と比較すると数字は良くなってきています。メールマガジンのリストと、カタリバ全体とのマッチ度が高まっているのかなという感覚です。
SNSで、不特定多数に届けるのも大切だなと思って、活動をしていますが、やはり反応が見えるのは、連絡先がある方とのメールマガジンが大きいなと思っています。
メールマガジンの機能を活かしながらコストを抑えられた
━Benchmark Emailを使っていて、どんな感想をお持ちですか?
NPOという組織なので、コーポレート機能に予算をかけすぎないという観点も持ちながら活動しています。以前は他社のMA(マーケティングオートメーション)ツールを利用していたのですが、費用面でがネックで。Benchmark Emailを使い始めてからは機能を生かしながらもコストを抑えられています。
Benchmark Emailの機能としては、レポート比較は毎月使っています。何が読まれたか、開封がどうだったか、そういった比較がスムーズにできるので、配信の翌週に必ず見て、次の企画に生かしています。Benchmark Emailは、リストのインポート作業が必要なんですけど、そのあとの配信停止のチェックなど「反応の確認」が、ひと目で見て分かるので、分かりやすいなと感じています。
前任者が他社のMAから切り替えた際に、Benchmark Emailのスタッフさんの丁寧なフォローアップが本当に切り換えて良かった、本当に心強かったと話していました。
私自身も、前任者から引き継いで使いはじめた人間なんですけれども、直感的で分かりやすいなと思っています。例えば、HTMLを知らないととか、言葉の定義を知らないと扱えないという感じではないので、そういう意味でも、今後、私が、誰か新しい人に担当を引き継いでも、社内で使っていけるだろうなという感覚があります。
まとめ
NPO法人として、予算を抑えながら、広報のミッションである「伝える」ことに、しっかりと取り組まれている印象を受けました。カタリバとしてのビジョンを軸にして、メールマガジンだけでなく、全体としての方針の一貫性を感じました。
名刺交換をした人や、イベントに参加した人とのつながりを大事にして、そのつながりを維持するために、メールマガジンを使っていくことは、NPO法人だけでなく、一般企業でもメール活用の重要なポイントになりそうです。
また、コロナ禍で「名刺交換」というリストの獲得手段が殆どなくなった状況で、リストの「反応の違い」を見つつ、新たなリスト獲得の道筋を作られているのは、コロナ禍でマイナスの影響を受けている企業の方にも参考になると思います。
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